聖コルンキルの家
世界で最も美しい写本と言われるケルズの書。
ダブリン観光では欠かすことのできないものの一つ。ダブリン・ウォーキングツアーにて観光。
では、そのケルズの書がどこで書かれたのでしょうか?
6世紀にアイルランドからスコットランドのアイオナ島に渡り、修道院を作りキリスト教の布教活動を行った聖コルンキル。
9世紀になり、修道僧たちがその教え(キリストの生涯・キリストの言葉)を写本としてまとめ始めました。
しかし、そのころは北欧からヴァイキングの襲来が激しくなっている時代。アイオナの修道院でも一度に70名の僧が殺されてしまうという事件が起こりました。
ここにはいられないと判断した修道僧たちは、アイルランドのケルズという街にやってきて、写本を完成させました。
そこはかつて聖コルンキルが修道院を築いていた街なのです。
現在、その修道院は残っておらず、聖コロンバ教会が建っていますが、その近くに聖コルンキル・ハウスというものがあります。
10世紀に作られた石作りの家では、修道僧たちが生活をし、ケルズ書を完成させ一時期保管もしていました。
屋根裏部屋には3つの石のベッドがあって、当時はそこにはロープを使って出入りし、教会に行くには地下の道を通って行き来していたそうです。
(現在は鉄のはしごがありますが、屋根裏の見学は不可)
西から入る太陽の光は、屋根裏部屋の入り口を通り、東の部屋壁を明るく照らす構造になっています。
現在、出入りすることのできる入り口も当時はなく、西側の少し傾斜を登った場所にありました。
室内に入ると何とも言えない空気間で、当時の生活風景がすぐにイメージできそうな重厚感。
この聖コルンキル・ハウスの鍵を預かってくれているのは、少し道を下ったところにお住いのカーペンターさん。
おばあちゃんーお母さんーお姉さんと鍵の管理そして、説明・ガイドを約90年に渡り引き継いでおられるそうです。他の場所は、わからないけどここのことはわかるとおっしゃるカーペンターさん。「だって、小さい頃から母について来て、ここの説明を聞き、ここで遊び、時にはここで寝泊まりしたんだもの。ここが私の第2の家よ」と。
たまにお手紙の宛先はミス・コルンキルと書いてあるそうです。
いつ来るかもしれない観光客を待ちつつ、快くお話をしてくださるなんとも言えないすばらしい方。
会えただけで嬉しくなってしまい、はやくまた会いに行きたい気持ちでいっぱい。こんな気持ちは初めてです。
先週、お客様をお連れしたときには、大体の時間は伝えていたのですが、すでに鍵を開けて待っていてくれました。
家の説明は、あなたがしなさいとカーペンターさん。
若輩もので、恐縮ながら務めさせていただきました。
カーペンターさんに教えていただいたように全力は尽くしました。
終わった後に、言っていただいたお褒めの言葉は・・・アイルランドに来てから一番嬉しかった。
もちろん日本語はわからないカーペンターさんなのですが、話しや身振り手振りで伝わってきたって・・・。
本当に本当に嬉しかった。
まだ数回しかお会いしたことがないのに、今までの全てのことをみてくれたような・・・。
「伝える」ということの重み・大切さ・やりがい
たくさんのことを学び、感じた場所になりました。
聖コルンキルの家からタラの丘の方角
ジャパン・アイルランド・トラベル
TOMO
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