聖地巡礼 その前に一杯、中で飲んで行かないかい?
ディングル半島のガララス礼拝堂・キルマルケダル教会を過ぎ、R559を走らせること30分、そろそろなんらかの看板でもでてきても良いのではと思いながら、ダンベッグの砦にて地図を確認。だいぶ通り過ぎていることに気づく。
さて、どうしたものか・・・。
それでも、引き返しすこと20分。Dunquinに入る。
ここまで来ると、さっき通った道だからと看板を探すやら、映画のシーンを思い浮かべながらキョロキョロと探す。ただそれらしきものも、発見できず途方に暮れる。
すると偶然にも現地の人らしき老婦人が歩いてらっしゃるのを発見。
すぐに声をかけると、もちろんその場所を知ってらっしゃって教えて下さいました。
一つの丘を指さし、「あの丘にあるお家。あの丘を目指して、ホステルを通過したら左に曲がるのよ。」
なんとも丁寧に教えて下さいました。ありがとうございます。
なんだ、簡単じゃないかと思いながら、丘を目指して車を走らせる。
しかし、この時はまだ、それが本当に難しいものだとは思ってもみなかった・・・。
まず、丘を目指している時点で、丘らしきものが辺り一面に広がっているため、どれが目指しているものなのか自信が無くなってくる。道中、犬を散歩をしている女性を発見するも、どうにかなるだろうと声をかけずに通過。
それでも、言われたとおりにホステルを通過して、左折すると・・・・なんと民家の行き止まりに。絶対に間違えた!!慌てて来た道を引き返しながら、それらしき建物を探す。
探すも探すもやっぱりまた見つからない。しかも、次第に雨も強くなり今度は、辺りには誰も見かけない状態に・・・聞こうにも誰もいない。さっきの女性に聞いておくべきだったとの後悔が何度も襲ってくるがあとの祭り。
その後、何度かその周辺を行ったり来たり彷徨うは、廃屋を見つけては車を降りて行ってみるも目的のものではない。
辺りの民家もクリスマスのイルミネーションは点灯しているものの、どうやら在宅ではないらしい。
本当に困った。ディングル半島ドライブはまだ半分近く残っている。時計の針は、すでに16時半を回ろうとしている。
車から降りて、寂しい気持ちと疲労感に襲われながらホステル辺りをうろうろしていると、一軒の民家の窓際に、ギネスビールを片手に海を眺める男性を発見!!
ここぞとばかりに手を振って助けを求める。
事情を説明すると、彼は開口一番。
「事情はわかった。その前に一杯、中で飲んで行かないかい?」
何とも、心強く、ありがたく、涙がでるくらい嬉しいお言葉を頂きました。ギネスビールは大好きだし、何とも貴重なお誘い・・・心は相当揺れ動いたものの、まだ自分にはやらなければいけないことがここにある。
そう、その目的地を訪れること。
丁重に、丁重にお断りして、道筋を念入りに確認し、後ろ髪をひかれつつ、車にて再々出発。
再び、車を停めた場所は、先ほどの老婦人に教えてもらい、一番初めに訪れた民家の前。なんとそこから、徒歩にて、崖を下っていくのだ。
通りからではわからないはずだ。車道からはまったく見えない崖の下にそれはありました。
周りには、たくさんの羊たちが草をついばみ、それらしき看板も何もありません。
ライアンの娘:原題 Ryan’s Daughter
1970年のイギリスの映画です。アイルランド独立戦争前のアイルランド島の寒村を舞台にしたヒューマンドラマで、ディングル半島の美しい砂浜などでも撮影が行われていました。
今回訪れたのは、今でこそ廃屋となってしまいましたが、主役のサラ・マイルズ演じるロージーが夫チャールズと生活していた住居兼小学校です。
男女で分かれている入り口や教室だった場所など、ここで撮影が行われたと思うと感慨深いものがあります。
大自然の中で生きる人々や、豪快な嵐の中の波の音、パブでの憩いの雰囲気など人間味溢れる映画です。
その後、宿泊先のTraleeの街に戻って、すぐにギネスビールを流し込んだことは言うまでもありません。
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