アイルランドの白い太陽
アラン諸島へ向かうフェリー乗り場はすごい風!雨も降っていてあいにくの天気だと思っていましたが、それでもフェリーは出たので一行はアラン諸島の一番大きな島イニシュモア島に向かいます。
アラン諸島と言えばドゥン・エンガスという遺跡や石を積み重ねて出来た農地を隔てる石垣からなる独特の風景や、漁師のセーターが発祥のアランセーターで有名です。なぜか西の果てのこの地にどうしても来てみたくて10年以上前に一度来たことがありました。身体のサイズを測ってもらいセーターをテイラーメードしました。3ヶ月で冬にちょうど間に合うように送られてくるはずだったセーターは季節外れに西の果てのこの島から届きました。しかも、出来上がりは小さめでした!実際にあまり着ることはなかったものの、とてもいい状態で今も残っていて(着てないから?)10年ぶりにアイルランドを訪れる縁を感じながらしみじみとセーターを眺めていましたが、この重量感あるセーターを持っていくのは思いとどまりました。なぜかというと、アイルランド人の友達に、このセーターは今どんな人が着るのか、と聞いたときに、漁師しか着ないと答えが返ってきたからです。そんな伝統のセーターは今も伝統であり続け、再び流行ることはないのでしょうか?
アラン諸島には郵便局が一つとコンビニのようなスーパーが一つ、そして教会が3つとパブが4つあります。流石、アイルランド。カトリックの神父さんは自家用飛行機を持っていて他の島でミサを行うために飛び回るのだそう。そしてこの人口800人足らずのこの島にはなんと日本人を含む17の国籍の人々が住んでいるそうです。なんと国際的!
数少ないアランセーターのお店を覗きながら、私がセーターをオーダーしたお店はどこだったか探していました。すると、おそらくここだと思われるお店と、自分が編んだかも、と告白してくれた女性を発見!その女性はアラン諸島の手編みニット組合のようなものを結成したリーダーとなった女性で本にも写真入りで取材されています。うれしそうに、写真がたくさん入ったその日本語のきれいな本を見せてくれました。アランセーターはそれぞれの模様に健康や安全、豊穣などいろいろな意味が込められていて伝統がたくさんつまっています。そんな世界の果てのような小さな島に代々伝わってきた伝統が、お土産として、そしてストーリーとして世界中に散らばっていくなんて、そしてかつて荒波に向かったアラン諸島の漁師の安全を守り、身を寒さから守ったそのセーターが、私たちを今温めてくれるなんて、なんか、感慨深いものがあります。
ドゥン・エンガスという切り立った崖にある古代遺跡に上ると不思議に今まで止まなかった雨がふと止み、白い太陽が霧の中から現れ、ドゥン・エンガスの舞台の中心に上りました。その風景があまりにも夢の様で、ぼーっとしてしまいました。
雨がよく降るこのアイルランドで真っ白の太陽をよく見る気がします。この太陽がとても神秘的なのです。子どもに太陽を描かせると日本の子どもは赤に、アメリカの子どもは黄色に描くと言います。アイルランドの子どもは白く描くのでしょうか。
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